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豚革

<日本における生産背景>

豚革とは、私たちの食肉文化の副産物として養豚場から食肉加工所を経由して供給される「豚原皮」をなめして「豚革」にしたもので、主にファッション素材として国内外で流通している天然皮革です。

豚革は、日本国内では主に東京都墨田区で生産され、国内生産量の9割を担っていました。

 

しかし、この数十年の間に国内の豚革なめし産業は縮小し、全盛期に60~80件あったと言われる豚革の国内タンナーは、2021年現在、10社に満たないまでに減少しました。大量生産大量消費の高度経済成長期には60~70万枚の月間なめし生産量を誇っていましたが、2020年時点では月産約3万枚前後に激減し、もはや希少な国産皮革素材となっています。

ピッグスキンとは豚皮をなめし、豚革にしたもので、主にファッション素材として国内外で流通している天然皮革です。

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豚原皮の特質>

国産豚原皮は、他国の豚皮とは一線を画す素晴らしい原料です。

日本で多く養豚されているのは、三元豚と呼ばれる主にランドレース種、デュロック種、大ヨークシャー種などを掛け合わせた品種で、毎月120万頭前後が全国200カ所近くの食肉加工所から食肉用として産出されています。その中にはバークシャー種と言う単一品種を守る九州の黒豚も含まれており、毛が黒い品種もありますが、なめしをすると品種に関係なくなめした薬剤の色に仕上がります。これら食肉加工の副産物である豚原皮の内、病畜などを除いた約9割が、国内そして海外のタンナーに供給されます。  

この月間に算出される豚原皮数から国内なめし生産量の約3万枚を差し引いた、100万枚近くが塩蔵(塩による貯蔵方法)されて豚原皮のまま海外へ輸出されています。国内での靴の生産量が減ったために豚革の需要も同じく減少しましたが、毎月これほど大量に輸出される国産原皮は他に類がありません。

世界で人気の豚革>

国産豚原皮の素材としての魅力は、肌がきれいで皮の大きさが均一で適度に大きいところにあります。これは食肉加工所の設備や技術力そして豚の品種や飼育計画などに起因しますが、何よりも海外では肉と一緒に皮も食する文化圏が多く、そもそも豚原皮自体が珍しいため、実は世界的に人気の素材なのです。このことは、輸出され海外のタンナーでなめされた日本の豚皮が、誰もが知る欧米諸国の有名ブランドから指名され使用されていることからも窺い知れます。

 

日本人の食文化と深く関わり、日本で100%自給できるメイド・イン・ジャパンの天然素材"豚革"。
海外ブランドや海外製品との差別化の上で、自国内で調達できる国内ブランドやメーカーにとっては輸送CO2削減や循環型社会構築への貢献や文化的な意義に留まらず、プライオリティの高い皮革素材と言えるでしょう。

<豚革の特徴>

「空気が通り抜ける快適な通気性」

豚の毛は、歯ブラシにも使用されるほど太くて硬い毛質が特徴です。しかも、その毛穴は豚皮の表裏を貫通しているため、完成した豚皮には空気が抜ける特徴があり、通気性を求める製品に最適です。

 

「人肌に最も近い肌触り」

人の肌に最も近い(火傷をした時に人体に豚皮を移植することもあります)コラーゲンたんぱく質の繊維層のため、人肌に馴染み親しみやすい触感を持っています。

 

「強靭な繊維層」

豚革を均一に最大限に活用する場合、約1mm前後の厚さに調整して使用することが適切です。牛革に比べて1mmは薄いと感じて繊維構造的に弱いとの誤解もありますが、生きているときに肉や内臓など生体を保護してきた豚の皮の繊維は非常に強靭です。正味にあたる尻から背筋、首にかけては縦方向の固い繊維層で、その背筋を中心に放射状に腹部(素材外周部)にかけて横方向の柔らかな繊維層になります。

 また、表皮0.3mmは特に強靭なコラーゲンたんぱく質の繊維層を形成しており、これは他の動物皮にはない特徴で、製品になってからキズが付く危険が少ないという長所に繋がります。

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豚革+ラセッテーなめし製法で更に付加価値向上

「軽い本革に」

本革は一般的に重いという常識がありますが、ラセッテーなめしを施した革、特に余分な仕上げを施さないラセッテーナチュラルは、クロムなめし革に比べて10%近くも比重が軽いことが分かっています(当社社内比)。革本来の風合いを生かすために、過度に余分な脂や植物タンニンを加え過ぎない技術のため、昔から伝わるズッシリとしたヌメ革のイメージを払拭する、様々な用途で使用可能な素材になります。

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「革らしい匂いで臭くない」

革は臭うもの、という常識を覆すのもラセッテーの特徴です。特にヌメ革と呼ばれる植物タンニン鞣しを旧来の製法や適切な処理が行われないなめし製法で行った場合、革自体が臭ってしまうことがあります。ラセッテーなめし革は、清掃の行き届いた(古いですが)なめし工場で、なめしや染色工程、更に仕上げ作業まで熟練の職人により一貫した自社工場生産を行ない、厳しい製法管理体制のもと生産していますので、出来上がった革は誰にも愛される“革らしい革”に仕上がります。

「国内資源の有効活用で、人と自然と環境にやさしい製品化」

赤ちゃんからお年寄りまで安全に安心して使用できる皮革製品として、またファッション素材の新たなスタンダードアイテムとして広く活用頂けます。

*主な使用実績

肌への優しさ、人の肌に最も近い特性を活かした商品として、時計バンドや室内履き、靴ライニングなど直接肌に接する箇所での機能性素材としての使用例があります。さらに、高級ブランドでも使用され(以下敬称略)ヴィヴィアンウエストウッド、ゲンテン、ポーター、ツモリチサトなど国内外のファッションシーンを牽引する多数のブランド各社に靴やバッグ・財布・小銭入れなどで使用いただいています。

その他にも用途として、ペンケース、携帯電話ケース、スマホケース、カップホルダー、コースター、ブックカバーやノートカバーなどオフィスでも使用するような身の回り品。また、犬のリード、ソファ、時計バンド、産業機械部品(食品関連)、シザーケースなど様々な分野でも利用いただいています。

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